2010年3月9日火曜日

2009年度 株式会社デンソー技研センターの見学

 2009年度の下期に,授業の一環として株式会社デンソー技研センターの見学会が開催されました。参加した学部生が研究室に寄稿してくれた記録を,以下に掲載します。


≪株式会社デンソー技研センターの見学記録≫

0.はじめに
 技術教育学講義ならびに演習の授業の一貫で、株式会社デンソー技研センターを見学させていただきました。
お忙しい中、ご説明、ご案内くださった職員の方々に厚く御礼申し上げます。

1.見学について
日時:平成22年1月15日 2:00~4:30
場所:株式会社デンソー技研センター本社
   デンソー高棚製作所(愛知県安城市高棚町)
内容:スライドによる説明 → 施設内案内 → 質疑応答

2.スライドによる説明
(1)株式会社デンソー技研センターに関して

 デンソーが100%出資した、技術、技能の研修の場。

(2)デンソー工業技術短期大学校
・厚生労働省認定の企業内短期大学校。
・学校法人ではなく、短大修了はデンソーの中でのみ通用する。
・「学科・実技・心身」すべての訓練を目指している。


工業高校課程(中学卒三ヶ年教育) 高度熟練技能者を育成する。
高等専門課程(高校卒一ヶ年教育) 多能的技術・技能を有した高度技能者を育成する。
短大課程  (高校卒二ヶ年教育) 創造性豊かな実践的技術者を育成する。
技能開発課程     技能五輪大会へ向けた訓練を行い、高度熟練技能者を育成する。

(3)研修
○基礎技能研修
ねらい:基本的な技能と社会性を持った技能者を育成。
内容:品質管理、製図 、測定、空気圧 、働く心構え、規律訓練
○オペレーター研修(中級、上級、TOP級)
○階層別研修(指導技法、デンソーにおける仕事の教え方、管理職系、専任職系)
○高度技能研修
技術変化に対応し、生産設備の製作・保全、製品開発・試作を担うハイテク技能者を育成。
電子系・情報系・ロボット制御系・機械設備系・機械加工系・試験実験系・型加工系

(4)評価制度
○検定
・技術検定
職種ごとに業務遂行に必要な技術レベルに到達しているかを検定。
基礎+専門技術(10職種)
・技能検定
モノづくりに必要な知識・技能を、職種ごとに学科と実技試験で検定。
社内技能検定1・2級(31職種)    国家技能検定1・2級(23職種)、特級(17職種)
○専門技能試験
現場技能の高度化を推進するリーダーの技能を評価。(38種目)
○社内技能競技会
技能の顕彰とレベルアップを図る。
上級 (11種目) 初級(5種目)


3.施設見学
・一人一台機械があり、設備が充実している。
・研修内容によって場所が分けられており、各セクションに指導員がいる。
・精密な部品作りを訓練でき、材料が整っている。一方で、車全体の展示、検証が行われているセクションもある。
・挨拶、マナーがしっかりしている。



*説明を受けた場所


4.質疑応答
Q1:地元出身者の割合はどのくらいですか?
A1:ほとんどが地元出身者で、親や親戚の勧めで入学する人が多いです。

Q2:なぜ検定を奨励しているのですか?
A2:関所をもうけていないと、技術の向上は難しいからです。
また、検定や技能五輪は到達点ではなく、高度な技術を身につけることを目指しています。

Q3:なぜ独自の検定があるのですか?
A3: 国家検定にない検定を独自に設けることで、誰もが公平、公正に評価されるような体制を整えています。例えばスピードメーターの検定は国家検定にはありません。

Q4:教師はどういった方がするのですか?どのような基準で選ばれるのですか?
A4:卒業生で現場経験のある人から、人間性を重視して判断します。
教師を続ける人や、3年で変わる人など様々です。教師を続ける人には、教育現場の核を担ってもらっています。

Q5:外国から来た生徒には特別な授業はあるのですか?
A5:日本語指導の教室はありませんが、英語で指導できる指導員がいます。
海外指導は英語か日本語です。また、障害のある人には手話での指導があります。
Q6:教育を受けた後、デンソー以外の会社に行くことはありますか?
A6:ありません。入学=入社という形になります。その代り、将来はデンソーで働くことが保障されています。

Q7:教材はどういうものですか?
A7:市販の教材を使うこともありますが、基本的には独自のものを作っています。

Q8:座学と実習の割合はどのくらいですか?
A8:基本的には、座学対実習=3対7です。しかし、1年生は座学、心身育成中心、学年が上がっていくにつれて実習の割合が増えるというように、学年によって変わります。

Q9:教育を行う上で大切にしていることは何ですか。
A9:「学科、実技、心身」全ての向上を目指しており、心身面では、マナーの指導を徹底し、会社の敷地に入る際には一礼させるなど、職業人としてのマナーも重視しています。

Q10:働きながら学ぶことができるということですが、お給料はあるのですか?
A10:給料ではなく、訓練生としての手当という形になります。従って、同じ年齢でも、一般社員と訓練生では金額が違います。基本は、一般の7~8割となっています。

Q11:関係企業のもつ教育機関との関わりはありますか?
A11:トヨタグループの中でスポーツ大会が行われるなど、交流の場はあります。

Q12:入学の際の試験科目はなんですか?重視している科目はありますか?
A12:科目は中学校で履修した数学、国語、英語、そして実技があります。 特に重視している科目はありません。すべてを総合的に判断します。 また、実技は、手先の器用さを見るもので、専門的な技術を見るわけではありません。

5.おわりに
 研修設備もさることながら、一般への展示、説明の体制も整っており、大変勉強になりました。スライドによる説明の後、実際に見学するということ、まさに座学と実践だと思います。
 株式会社デンソー技研センターの職員の皆様、お忙しい中、ありがとうございました。


【 執筆 : 教育学部3年生 】

2010年3月6日土曜日

2009年度 名古屋市立工芸高等学校の見学

 2009年度の下期に,授業の一環として名古屋市立工芸高等学校の見学会が開催されました。参加した学部生が研究室に寄稿してくれた記録を,以下に掲載します。


≪名古屋市立工芸高等学校の見学記録≫

 1月15日(金)、大学の一斉休講日を利用して、名古屋市立工芸高等学校を見学させていただきました。まずは、教頭先生からこの学校について説明をしていただき、その後で、校内を実際に見学させていただきました。その中でも、特に印象に残ったことを3点挙げようと思います。

 1点目は、[設備が充実していること]です。この高校を訪れて最初に思ったことは、校内がとにかく広いということでした。それに伴って、実習用の教室がいくつも用意されており、かつ、その教室で使用される備品も十分にありました。これだけ環境が整えられていれば、生徒たちは満足度が高い内容の実習を行うことができるように感じました。
 2点目は、[作品の出来が素晴らしいこと]です。廊下を見渡すと、生徒たちが実習で制作した作品が展示されていました。私たちから見ると、それらの作品は実習で制作したものというレベルを大きく超えており、ただただ感動するばかりでした。先生がたは「基礎的なところから、きちんと指導している」とおっしゃっていたので、そのおかげで生徒たちはどんどん技術を身につけていくことができるのではないのかなと思いました。
 3点目は、[生徒たちが授業に取り組む様子]です。授業中の教室には、授業に対する生徒たちのやる気が満ちあふれていました。私たちが部屋に入ってきても、ほとんど気を散らすことがなく、真剣に実習に取り組んでいたのです。その様子を見て、生徒たちは「技術を身につけたい」という思いをしっかりと持ち、その目標に向かって必死で頑張っているような印象を受けました。

 今回の学校見学を通して、私たちが通っていた〔普通科〕の高等学校とは違う世界を知ることができました。専門学科というと、世間的に見てあまりいいイメージが持たれていない傾向にあるようですが、そのようなことは一切ないように思います。結局、どんな場所であったとしても、“目標”さえ持つことができていればよいのではないでしょうか。だからこそ、私たち自身が「自分が何をしたいのか」を考えることが大事だと思います。そのためにも、学校側もそのようなことを考える機会を作ってくれることを望みたいです。


【 執筆 : 教育学部3年生 】

2009年10月15日木曜日

2009年名大祭での展示

 2009年度の名大祭での研究室公開において,技術教育学に所縁の深く著名な教育者(あるいは教育学者)等に関するポスター展示を行った。
 以下に,展示されたポスターを掲載する。これらのポスターは,学部ゼミ生が独自に文献調査を行い,ポスターとして編集したものである。

  ◆クルプスカヤ
     
    

  ◆ケルシェンシュタイナー
    

  ◆セレスタン・フレネ
     

  ◆デューイ

     

     

  ◆フレーベル
     
     

  ◆ブロンフスキー
     


  ◆ペスタロッチ
     

2009年の学部ゼミ(夏合宿)



 2009年の夏に,学部生を対象とした夏合宿が開催されました。参加した学部生が研究室に寄稿してくれた記録を,以下に掲載します。


《 技術教育学ゼミ合宿の記録 》


 9月26,27日に,岐阜県下呂市にて技術教育学ゼミの合宿が行われました。2日間お世話になったのは,木製のスプーンなどを作っていらっしゃる職人の方のお宅です。

 参加者は,横山先生のほかに技術教育学演習に参加した学部3年生7人。各々の興味があることを発表し,全員で検討を行いました。テーマは,障害児教育,乳幼児教育・保育,宮大工の西岡常一氏について,技術教育学と心理学の関係,幼児の遊びに関する実験など,多岐にわたりました。どの発表もとても興味深くいものでした。参加者はただ発表するだけではなく,他の発表に対して疑問に思ったこと,考えたことも発言し,議論が深められました。





 各自の発表の他にも様々な体験ができるのが横山先生のゼミ合宿の特徴です。今回は,地域の方々の生活を見学・体験したり,手作り木工体験をしたりしました。技術教育を実際に自分たちの手で経験するものです。訪れた地域に暮らす方々は,自分たちで作った野菜を食べ,水の綺麗な近隣の川で採れた魚を食べるなど,まさに地産地消の生活をしていました。みずみずしく新鮮な食材にあふれていて,私たちも2日間自然の中での生活を満喫することができました。また,木工体験では各自がデザインしたものを木を使って形にしました。どうしたらイメージしたものに近くことができるのか,それぞれ思考錯誤しながら挑戦していきました。小さい頃はやったことがあっても,大学生になると普段ではなかなかできないような体験です。真剣な眼差しで作業に取り組む学生たちの姿が印象的でした。

 一泊二日という短い合宿でしたが,その中で様々なことを学び,貴重な経験をすることができました。この合宿で学んだことを,今後の学習にも活かしていきたいと思います。


【 執筆 : 教育学部3年生 】